真冬の東京にいながら、いきなり熱帯雨林に迷い込んでしまった。
夢の島植物館の大温室ドームに足を踏み入れた瞬間、外の冬の空気が嘘のように感じられた。コートの襟を立てたくなるような乾いた空気から一転して、むわっと温かく、湿った空気が肌にまとわりつく。夏場なら不快なはずのこのじめっとした感覚が、なぜか心地いい。それは、目の前に広がる青々とした植物の群れと、どこからか聞こえる水の音のせいかもしれない。あと、東京の冬の乾燥似つかれていたのかも。
ドームに入ってまず圧倒されるのが、天井に届きそうな勢いで伸びるヤシの木だ。入り口から少し離れた場所に生えているのに、圧倒的な存在感である。「こんなに大きくなるのか」と見上げていると、耳に届く滝の音。人工物とわかっていても、水が流れ落ちる音と霧のような湿気が、都会の喧騒から離れた自然のなかを演出している。
順路に沿ってゆっくり歩を進めると、東京ではなかなかお目にかかれない植物たちが次々と現れる。
マンゴーの木なんて、初めて実物を見た。スーパーで売ってる果物が、こんな木になっているのか、と妙に感動する。そして衝撃だったのが、バナナは「木」じゃなくて「草」だという事実。あの大きさで草!? 説明プレートを二度見してしまった。ドリアンもあったけれど、さすがに匂いは封印されている様子。ちょっと残念なような、ホッとしたような。ヤシの木の下には、「落下物注意」の看板が。ヤシの実が落ちてくることがあるみたい。注意してたって避けるのは難しそうだけど…。
どの植物も、生命力に満ち溢れた大きな葉をつけている。その葉の青々とした色、葉脈の力強さ。ただそこにいるだけで、植物たちからパワーをもらっている気がした。スマホとかPCの画面ばかり見ている日常から、ほんの少し解放されたような感覚だ。
気づけば、ドーム内を1時間以上うろうろしていた。
こんなに手軽に非日常を味わえる植物園。次は神代植物公園か、それとも筑波の方まで足を伸ばしてみようか。定期的にいろんな植物園を巡る趣味、悪くないかもしれない。