1902年から1943年にかけて、8人の研究者が、5,113人の日本人男性のちんちんを測った、という記録がある。
40年かけて、5,000本。
日露戦争から太平洋戦争へと突き進む激動の時代、その傍らで誰かが黙々と男性器にメジャーを当てていた。
何を思って測っていたのか。学問とは、かくも自由なものである。
そこまでして知りたかったものは、何だったのだろう。
◇
エロ漫画には、お決まりのシチュエーションがある。
陰キャのちんちんが、やたらデカい。
冴えなくて、痩せていて、影が薄い。そういう男が服を脱いだ瞬間、脱がせたギャルが驚愕するというやつだ。
決して俺がそういうのを読んでいるというわけではない。
現実はどうだろう。
体格のいいオトコ、背の高いオトコ。オスとして強そうなやつほどデカいと、なんとなく思われている。
以前、誰かが言っていた。
「おっぱいの大きさは外から見えるのに、ちんちんの大きさは脱がせるまで見えないからずるい」
確かに、一緒に風呂にでも入らない限り見ない器官だ。だからいくらでも想像できてしまう。
冴えない男には、せめて一つの光を。完璧に見える男には、せめて一つの弱点を。
そういう願望を、俺たちは勝手に股間に託している。
で、実際はどうなんだろう。真面目な論文を読んでみた。
◇
まず、世界15,000人以上を対象にしたレビューによると、勃起時の平均は13.12センチだった。
次に、人種による差。
外人のほうがデカいというイメージを持たれがちだが、1,600人以上を調べた研究では、人種による有意な差はなかったらしい。
長年信じられてきた国際的な偏見が、ここで静かに崩れる。
そして日本人241例の調査。身長との相関は、確認されなかった。
デカい男が、デカいとは限らないらしい。
じゃあ、何が関係あるのか。
1,160人を調べた研究で浮上した予測因子が、これである。
鼻の大きさ。
しかも、BMIが低いほど大きいという。
どうやら痩せていて、鼻が大きい男が有利らしい。
◇
痩せているといえば、エロ漫画の陰キャだ。
作者の願望だと思っていたものが、図らずも生理学的には正しかったのかもしれない。
理屈もつく。太ると恥骨の前の脂肪に埋もれるから、実測が同じでも見える部分が減る。
つまり「痩せてるとデカい」は、生えている長さの話ではなく、露出率の話の可能性もある。
戦前の研究者たちが40年かけて測ったのも、たぶんこういうことを知りたかったからだと思う。
◇
以上が、科学の見解である。
しかし俺は文献を読んだだけで、他人のちんちんを確認するようなタイミングはそんなにない。
この仮説を検証できるのは、実地調査の経験が豊富な女性だけだ。
ぜひ査読をお願いしたい。