妄想

パンツはチラ見えがいいのと同じで「有能感」はチラ見えするくらいがかっこいいんだよ

「チラリズムってよくない?」

急にそんなことを言い出すのは、先日の席替えで隣になったミサキだ。
最近は波長が合うことがわかってよく話す。

普通、女子から男子に「チラリズム」について語るヤツなんていないが、こいつは例外のようだ。

「女子のパンツもスポーツ男子の腹筋も、全部見えたらつまんないよね。チラッと見えるから想像力が働くんだよ。」

彼女いわく、まる見えにはない栄養素が、チラリズムには存在するんだそうだ。

「チラリズムってさ、仕事とか人間関係にも使えそうだよね。」

何を言ってるんだこいつは・・・と思いつつ耳を傾けることにしよう。

「例えばウチのバイト先にはさ、ヨシカネさんっていうキッチンリーダーがいるんだけど、この人が「有能感チラ見せ」の達人なわけ。」

「っていうのも、私のバイト先って飲食店なんだけど、ヨシカネさんが入っている日は冷蔵庫から目的のモノがサッととれるの。
なんでだろ~って思って観察してたら、ヨシカネさんは誰も見てないときに容器のラベルとか見やすく配置してくれてたり、取っ手がついてるものは取りやすいように揃えておいてくれたりしてたわけ。」

ほほう。ヨシカネさんとやらはさぞかし仕事がデキるんだろう。

「ヨシカネさんのこと、シゴデキだと思ったでしょ?私もそれ見た瞬間、この人実はめちゃくちゃ仕事できるんじゃね?って勝手に想像しちゃったんだよね。」

思考が読まれたみたいでちょっと悔しいが、その通りだな。
ミサキは続ける。

「恋愛も同じだと思うんだよね。意外な一面をチラッと見せられると、この人のこともっと知りたいかもって思うもんだよ。例えば、超完璧にエスコートしてくれるのに、ご飯粒がほっぺについたまま気が付かいとか。マヌケなところも、チラ見せなら効果的なのかも。」

なるほどなぁ。俺がモテないのはマヌケなところをまる見せしてるからってことか。

「そうかもw
あ、そろそろ次の授業はじまるよ!移動じゃなかったっけ?」

そう言いながら移動の準備を始めるミサキを横目に見ながら俺も準備を進める。

さて、この子にどうやって意外な一面をチラ見せさせてやろうか。

-妄想