記録

褒めたら伸びると聞いて、まいにち下半身を褒めてる

「褒めたら伸びる」ってよく聞くじゃん?
子どもも、後輩も、犬だって褒めたらやる気出してくれるしどんどん伸びてく。
そこで!俺の下半身も褒めたら伸びるのでは?!と思いついたわけだ。

休み時間、俺の席の前に座っているケンタは得意げに話す。
また訳のわからない事を言いだしたな…と呆れつつ聞いてみる。
「褒めるって言ったって、具体的にどうするんだよ。」

うーん、と腕を組んで考え込むケンタ。

「鏡越しに、お前今日も良いフォルムしてるな、って言うとか?」

アホすぎて吹き出しそうになった。誰がやるんだそんなこと。

あ!と思いついたようにケンタが続ける。
「こんなに寒いのに縮こまらなくてえらい!って声かけるとか!」

さすがに限界だった。寒いのに縮こまらないわけがない。
俺が吹き出したのを見て満足したのか、ケンタはニヤニヤしている。張り倒してやろうか。

たしかに、自分で自分を褒めるってのは悪くないかもしれない。
バイトでいつもよりスムーズに接客ができたり、テストてちょっとだけ点数が上がったり、他人から褒められるほどでもないけどよくやったことって結構ある。

「やってみるか…」
ボソッと言ったら、しっかり聞こえてたみたいでケンタは目を丸くしていた。

「マジ?」

なんか勘違いを生んでしまったけど、こう答えてやった。

「さすがにまいにちは無理かもしれないけど。」

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